いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

虹の根に母子の影や夕間暮

写真は、夕方、東の空に見えた虹。外遊びのときの集合場所から撮った。

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うわ〜虹だ、虹が出てる、と教えてくれたのは3年生の女の子。お迎えのお母さんは気づかないふりをしたのか、本当に気づかなかったのか、あれ〜ほんとだと言って、腕にしがみついてくる女の子をしっかり受け止めていた。母子並んで虹を見ながら帰っていく姿が、ほのぼのとして印象的だった。
雨が上がった後の虹は、ふつうよく見かけるが、雨がふらなかったのに、こうして虹が出ることもあるんだね。俄か雨を降らすぎりぎりのところで、空気中の水滴がなんとか持ちこたえた、といったところでしょうか。
虹は、これまで数知れず見てきた。いろんなところで、いろんなときに見てきた。そんな中でいちばん印象に残っているのは、やはり、職場の同僚と信州へ旅行した帰りに中央高速道で見た虹、である。
私が新採用で勤めた横浜の職場で、2年目の夏に信州旅行を企画した。今から35年前の話である。信州は同じ科の重鎮の故郷で、車の運転を買って出た新人は、あっち行けそっち行けという重鎮の無計画な指示にぼやくこと頻りだったっが、小諸の懐古園上田城、望月の酒蔵、比田井天来の生家、上山田温泉の露天風呂など、行くところすべて初めてのところばかりで、私にはすこぶる楽しかった。
いろんな名所を駆け足で回ったが、今は訪ねたどの場所も印象が薄れている。その当時はデジカメももちろんまだ世に出ていない時代だし、大体カメラを持ち歩く習慣はなかった。記念写真は何枚か撮ったはずだが、その写真すらもどこかの箱の中に仕舞われたままで、どこかの箱もまたどこだか分からない始末である。
行った場所の印象は薄れているけれど、その旅行の帰りに見た虹だけは今でも強く脳裏に焼き付いている。なぜだろう。
中央高速道を相模湖インターに向かって走っているとき、後部座席に座っていた同科の女性職員が、あっ、虹、見て、虹、虹よ、虹、見て見て、ほら虹と「虹」を連呼した。ほら、と言われて後ろを振り向くと、今通ってきた道の上に鮮やかな虹が架かっていた。
虹は確かにきれいだった。きれいだったけど、それにしてもこの同僚のあまりに無邪気なはしゃぎようはどうしたことだったろう。あのときは何か特別な思いにとらわれたんじゃないか、というか憑依したんじゃないかというような不思議な気がしたものだった。
そのときの女性職員の様子と虹とがセットになって、今も私の中で強く印象に残っているのである。(あ)
あやめ湯(18:33〜19:20)8→3人。
タイムラプスは、6月8日(水)5:05〜8:19の伊豆長岡の空。

2,880歩。