いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

初午やおいなりさまの旗捲れ

写真は、大仁の旭化成敷地内にある稲荷の祠。旗がたくさん並んでいる。これは地元に昔から伝わる伝統行事で、旧正月の初午の日に稲荷の祠へ旗を納めるというもの。旗には墨で、子どもは「おいなりさま」、大人は「奉納正一位稲荷大明神」と書く。
この旗と棒は時期になると地元のスーパーに並ぶ。今年の旧正月の初午は2月6日(土)で、先週までずっとスーパーに並んでいた。ウィークデーを伊豆で過ごすようになってから、この旗が何なのかずっと気になっていた。
写真は旭化成の祠だけれど、他に、同じ旧下田街道沿いの民家の脇にもたくさんの旗が立っているところがある。しかし、そこの民家は垣根に旗をもたせかけてあるだけで祠はない。稲荷の祠に旗を奉納するのは分かるとして、普通の民家でもそういうことが行われるのはどういうわけか。
そのあたりの事情を知りたくて図書館で調べてみた。すると、『伊豆国事典』に「稲荷信仰は(中略)農家の屋敷神となっている場合も多い」とある。農家では五穀豊穣を祈って稲荷を屋敷神として祀ることが、伊豆では古くから行われているらしい。また、「伊豆の2月初午には、稲荷を祀り、旗を立てて赤飯を炊く。子供の関与が著しく、道祖神祭における時と同様に物品を勧化したり、くれないケチな家に対してはその家のオカミさんの悪口を言ったりする。時には卑猥なことも言う」とあっておもしろい。
子どもたちは旗を納めた家からお菓子をもらえることになっていて(ハロウィンの伊豆版みたいなものだろうか)、それをくれない家をケチ呼ばわりするという。そして、時に卑猥な言葉を発するというのだが、子どもが口にする卑猥な言葉ってどういうのだろうと想像して、ふと幼少の頃にはやった囃子言葉を思い出した。
今から50年以上も前になるが、家の近所でこんな囃子言葉が広がった。
「金兵衛金玉木でこへだ(こしらえた)何年たってもふげ(ひげ)おがね(生えない)」
私はこれを誰から教わったか覚えていない。金兵衛なる人物が実際にいたかどうかも分からない。でも、この手の囃子言葉は、誰から教わるでもなく、周囲が異口同音に囃すうちに自然に頭に焼き付いてしまう類のものであろう。『伊豆国事典』で言う、時に子どもが言ったという卑猥な言葉とは、所詮この程度のものではなかったかと思っている。
それにしても、こういう文化が未だに残っている伊豆って、やっぱりおもしろい。こういう伝統をずっと残しておきたいねえ。(あ)

f:id:jijiro:20160209172815j:plain

あやめ湯(17:48お~18:28)4→7人。)

1,867歩。