いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

蟹味噌の人差し指の余寒かな

写真は、モクズガニ。小田原の孫の家の前に小さな用水路があって、今日の午後、孫の世話で小田原に到着したら孫娘が、今朝パパと一緒に散歩していて見つけたんだと自慢げに話してくれた。すごいね自分で捕まえたの? ううんパパが捕まえてくれたの。

モクズガニは洟たれガキの頃、海近くの、あまりきれいじゃない小川にうじゃうじゃいて、よくとっ捕まえて遊んだものだ。今ネットにあたってみると、モクズガニは食用として有名な「上海蟹」の同属異種であり、日本各地で食用にされている内水面漁業の重要漁獲種だとある。しかし、私にはそれを食べた記憶がない。小川には家庭から出た生ゴミとかが流れていたりして、それで食べる気がしなかったのかもしれない。

食べた記憶があるのはもっぱらガサエビ。これはカニではないけれどよく食べた。青森では寿司ネタに使われるシャコのことをガサエビと呼ぶ。網にかかったのを木箱に入れるとガサガサと音をたてるからという説があるが、よく分からない。鎧のような殻を一枚一枚はがし、中にオレンジ色の卵が入っていると当たりで、ちょっぴり得をした気分になったものだ。また、王冠のような形をした尾の部分の殻を指にはめ、指人形のようにして遊んだりもした。

ガサエビほどではないが、毛ガニもよく食べた。今思えばなんとも贅沢な話だが、大皿に山盛りに積まれた毛ガニをおやつ代わりに食べていた。甲羅をぱかんとはがし、中の味噌を人差し指ですくってしゃぶるあの味は、未だに忘れられない。ああ、思い出すだに涎たらたら。この世に星の数ほどある食べ物の中で、毛ガニの味噌は私にとって今も東横綱の最高番付なのである。

子供たちがまだ小学生だった正月に青森に帰省したときのこと、実家近くの漁港の堤防で毛ガニを見たことがある。堤防の縁を一匹の毛ガニが這い上っていたのだ。毛ガニは海深い底に棲むものとばかり思っていたのでちょっと驚いた。たぶん蟹網から逃げ出したのだろう。捕まえて子供たちに見せようと思ったが、足元が凍っていて危なかったので、それ以上は近づかなかった。

その昔によく食べたガサエビも毛ガニも、今ではすっかり口にする機会はなくなったが、いつかまた、毛ガニの甲羅に酒を注いで呑んでみたいと思ったことだった。(あ)

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679歩。