いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

急く足を止めて師走の華やげり

先週は岩井俊二監督「花とアリス殺人事件」、そして今日、原恵一監督「百日紅〜Miss HOKUSAI〜」のDVDを観る。

花とアリス…」は、ロトスコープという技法が使われているところにいちばん興味があった。ロトスコープとは、手書きの絵コンテをベースに実写を撮影し、さらにそれをアニメ化するというもの。だから人物の動きが実写そのもののように滑らかで、それなりに見応えはあったのだが、実写で撮影できるのならわざわざアニメ化する必要もなかったのではないかというのが率直な感想。先に実写の「花とアリス」という作品があって、今回はそれの前日譚という設定で、声の担当も10年前の実写と同じく花を鈴木杏、アリスを蒼井優がやっている。岩井俊二監督の言によると、もともと声の担当はこの二人でなければいけないと思っていたそうだ。しかし10年が経った今は二人が女子中学生役をするわけにはいかない。そこでアニメ化することにしたというのだが、それは後から取ってつけた理由のような気がする。主な理由は、前々から興味があったと監督自身も言っているように、一度ロトスコープという技法を使った作品を作ってみたかったというところにあるのではないかと推察するがどうだろう。

百日紅…」は、これまでに、アヌシー国際アニメーション映画祭で長編作品審査員賞、シッチェス・カタロニア国際ファンタステック映画祭最優秀アニメーション映画賞、カナダ・ファンタジア国際映画祭で三冠など国際的な受賞をいくつも重ねている。そして今回、アジア太平洋映画賞の最優秀アニメーション映画賞を受賞したというニュースが飛び込んだ。これら高評価てんこ盛りの「百日紅…」だが、観て納得した。作品中に描かれた筆書きの絵の素晴らしさ、明瞭かつ深みのあるストーリーに魅了された。特に北斎漫画を髣髴させる筆書きの絵は、私の目指すアニメーションとの方向性が近く、その意味では非常に参考になった。これはすごい作品です。文句なしに星5つですね。

写真は、藤沢の自宅近くの旧国道1号線沿いに植えられたパンジー。年を越すにはまだ間があるけれど、ここだけもう既に春が訪れた感じで華やいでいる。(あ)

f:id:jijiro:20151206164531j:plain

8,013歩。