いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

祖母と孫黙して仰ぐ雪の富士

午前中、大場の病院で定期検診。前回の検査結果の報告を受ける。HbA1cの数値が0.1ポイント減少し、自前のインスリン量も豊富で健康そのものだと言われる。ただし薬はずっと飲めと。相変わらず薬を飲んで保たれる健康というわけだ。

薬を飲まなかったらどうなるんですか? と訊こうとして訊きそびれた。先々週薬を藤沢に忘れ、伊豆で薬なしの一週間を余儀なくされたが、それでも特に体調を崩すことはなかった。本当は薬を飲まなくても平気なんじゃないの? という疑念はくすぶっているものの、でもそんなことを口にしたら薬を飲んでいるから良い状態が保たれているんですよ、また注射に戻ってもいいの? と言われるに決まっている。いやだいやだ、注射はいやだ。ああ、もしかしたらこのままずるずる死ぬまで薬を飲み続けるのかなあ。それを思うとちょっと憂鬱。

7,840歩。

写真は、2階デッキから眺める今日の富士山。側火山の宝永山まですっぽり雪に覆われた。富士山は、春夏秋冬どの季節に眺めても飽きないが、やはり白い雪を頂いた冬の富士が、気品があっていちばん輝いて見える。

夕方に平塚で呑み会があった。神奈川に戻るときはいつも伊豆長岡駅までのんびり歩くのだが、今日は家の片付けに手間取って、乗る予定の電車に間に合わなくなってしまった。そういうときは田京駅に出る。長岡駅までは歩いて28分、田京駅は16分。

田京駅へ向かう坂道からは富士山は見えない。見えてくるのは坂を下りきる手前辺りから。坂を下りきった道の交差点で下校途中の小学生と出会った。こんにちはと大きな声で挨拶をくれる。私もつられて大きな声で挨拶を返す。

いつも思うことだか、本当に伊豆の子供たちはよく挨拶をする。素晴らしい文化である。挨拶をされて気を悪くする人はいない。このこんにちはの一言が地域に広がり、日本中に広がり、ひいては世界中に広がることを願ってやまない。

私にこんにちはを言った小学生は私の前を小走りに進み、その先に立っている人に、おばあちゃ〜んと言いながら手を振った。赤いランドセルが小刻みに揺れる。おばあちゃんは両手を広げて孫を迎え、そして視線を富士山に向け、ほら、富士山きれいねえと孫を促した。言われて孫も富士山を見る。おばあちゃんと孫は二人並んで黙ったまま富士山を見ている。あたかも言葉を失ったかのようだ。それはほんの数秒のことだったが、私には何か神々しいものに見えてとても眩しかった。(あ)

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