いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

台風に我がゆく針路教えらる

今日の授業の振り返りシートに、私の趣味は絵を描くことです、先生の趣味は何ですかというコメントがあった。振り返りシートの「発見メモ」には、そのときに気づいたことならどんなことを書いてもいいとしてあるから、授業の内容で気づいたこと発見したことの他にたまにこんなことを書いてくる子もいる。

コメントの返事に、私の趣味は…と書いてはたと筆が止まった。私の趣味って何だろう。

退職する前は、職場が変わるたびに自己紹介をしてきたし、学校の広報誌にプロフィールを載せてもらったりもした。その他さまざまな場面で自己紹介の機会があり、その都度、私の趣味は囲碁です、釣りです、スキーですと言ってきた。でも今はそのすべてから遠ざかっている。今私は何を趣味としているのだろうか。

ドイツ文学者で作家の中野孝次は『美しい老年のために』で「ほんとうの趣味とは、それをせずには生の充実感がえられないものをいう」と書いている。また続けて「読書が生きがいだ、という人がいる。音楽、絵画、染めもの、織物、旅行、短歌、俳句、習字、外国語、等々、趣味の世界は広いが、それが生涯の情熱になった人というと、めったにいない」とも。

今の私には「それをせずには生の充実感がえられないもの」が果たしてあるだろうか。歩くこと? 一日1万歩を目標に歩くことが生きがい? いや違う。では温泉? 毎日温泉に浸かることに情熱を感じる? いや違う。それともアニメ? アニメ制作なら情熱めいたものは多少くすぶっている。しかし、いかんせん私には絵の才能がない。この夏本格的に取り組もうとして、それがいかに身のほど知らずのことであるか痛感した。一枚も描けなかった。

手塚治虫はドクターストップになってもなお、仕事をするんだ仕事をさせてくれと叫んで周囲を困らせたという。これこそ生の充実感、生涯の情熱そのものではないか。

手塚治虫の場合は趣味そのものが仕事だった人だから比較にならないけれど、できれば私もそういう情熱を持っていたいと思う。その情熱を燃やすにふさわしい趣味とは、私にとってほんとうの趣味とはやはりアニメ制作なんだということに今改めて気づいた。まずは絵の勉強から始めます。仕切り直しです。出直します。一作仕上がるまでに何年かかるか分からないけれど、地道こつこつやっていこうと思います。

コメントの返事にはとりあえず、毎日ブログを書くことと書いておいたけど、よく考えたらそれって趣味でも何でもなかったね。でもこうしてブログを書くことで私の生涯の情熱を向ける先を確かめることができました。

8,045歩。

写真は、職場の準備室のガラス戸棚で見つけた『日本常民生活絵引』。これを模写するところから絵の勉強を始めようと思います。下の写真は、第一巻に収められた『伴大納言絵詞』の一部分。解説がとても参考になります。(あ)

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