いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

輝ける闇夏の闇鉄兜

写真は、茅ヶ崎開高健記念館。歯医者の帰りに寄ってみた。これまで何度も記念館の近くを通っているはずなのに、入館するのは今日が初めてである。近いからその気になればいつでも入れると思いつつ、これまでその気にならず素通りしていた。今日その気になったのはどういう加減だろう。自分でもよく分からない。

寄ってみようと思った時点で午後5時に近く、この手の記念館は大概午後4時くらいには閉館するだろうから行っても入れない可能性はあった。が、ここは近所という強みもあって、駄目元で寄ってみた。そうしたら、ラッキーなことにまだ開いていた。案内には開館日が金土日と祝祭日、入館は午後5時半までで6時閉館とある。いやあ行ってみるもんですね、というか普通行く前にネットで調べるだろ。

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実は私は開高健のサイン入り本を持っている。本棚にあった本はことごとく「自炊」して綺麗さっぱり処分したが、この本だけは捨てきれずに手元に残しておいた。私が直接、開高健からサインをもらったのではない。平塚のアパート時代に駅前の古本屋でたまたま手に入れた。当時、私は投げ釣りに凝っていて、それで開高健の作品は『私の釣魚大全』とか『フィッシュ・オン』といった釣り関係の随筆に親しんでいた。ある日ふらっと立ち寄った古本屋で開高健の名を見つけて中身もよく確かめずに買ったのだと思う。本の見返しに本人のサインがあるなんてちっとも知らなかった。家に帰って読み始めようとして気づいた。

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記念館は、開高健が1974年から亡くなる1989年までの15年間住んだ邸宅を改築したもので、離れの書斎は当時のまま残っている。外から窓越しに見ると(書斎の中には入れない)、三方の壁に立派なキングサーモンの剥製が飾られ、西向きの窓の下に大きなテーブルが置かれてある。この巨大な魚に囲まれながら執筆している開高健を想像し、58歳という若さで逝った行動派の天才作家を偲んだことだった。

記念館の隣には新たに「茅ヶ崎ゆかりの人物館」ができていて、受付の人が勧めるのでついでに入ってみた。今年2月にプレオープンしたばかりで、現在はその記念として、これまで茅ヶ崎市民栄誉賞をもらった人のうち、宇宙飛行士の野口聡一さん、テニスの杉山愛さん、ソフトボールの三科真澄さん、女子野球の出口彩香さんの4人の企画展が行われていた。案内してくれた人に、茅ヶ崎にゆかりのある著名人といえばたくさんいるでしょうと言ったら、ええそうなんです、これからいろんな方々の展示を増やしていくつもりですけど、どの辺りに線を引いていいか悩ましいところです、とおっしゃっていた。記念館も人物館もどちらも無料。週末に茅ヶ崎にちょいと出かける用事のある人はぜひ立ち寄るべし。15,490歩。(あ)