いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

石走る流れしぶくや河鹿の湯

午前9時過ぎ、大場の病院へ行く。前回の検査結果が示され、数値は概ね基準値内に収まっていて悪くないですよと言われる。ただ一つ中性脂肪の値が高めなのでそこだけ注意してくださいとも。分かってます、呑んですぐ寝るなってことでしょ。分かっているんだけど、気がついたら寝ちゃってるんだよ。ずっと昔からそう。今もって、こればれどもなね(津軽弁で、こればっかりはどうにもならないの意)。

病院からの帰り、バイクを走らせながら考えた。どうせ湯ヶ島まで行くのだったら、もう少し足を延ばして西伊豆の大沢里の深層水を汲みに行ってみよう。どんなくねくね道か試してみよう。で、今回は間違いなく国道59号線を走った。やはりくねくね道だった。薄暗い新緑のトンネルを抜けて風早峠、続いて仁科峠を越える。後はまたまた薄暗がりの山道をしばらく下り、パッと明るい空が見えたところに櫓(やぐら)がそびえていた。地下1000mの深層水を汲み上げている櫓である。15Lで100円。販売機にコイン入れてスタートボタンを押すと水が出てくる。平日の昼だったが、駐車場には10台ほどの車が並んでいて思いのほか混んでいた。

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帰りは同じ道を戻り、湯ヶ島の河鹿の湯を楽しんだ。

湯ヶ島・河鹿の湯(16:00)2→2人。徒歩551歩。

写真は、河鹿の湯。あやめ湯常連のマイ風呂桶さんが推奨するだけあって、いやあ、素晴らしい湯でした。風呂場の中央に、三人が膝を折ってやっと入れるくらいの小さな浴槽があり、その縁の真ん中に据えられた河鹿の置物から熱い湯が渾々と掛け流されている。温度は42℃といったところか。熱くもなく温くもなく私にはちょうどよい熱さだった。洗い場の蛇口は湯と水と別々にあって、それが両脇に3基ずつ6人分ある。管がむき出しに壁を這っている無造作が何ともいい。最近はわざとそういう装いにする店舗もあったりするが(湘南T-SITEのスタバがそうだ)、ここはわざとじゃないだろう。昔のそのままの風情といった感じがある。

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極めつきは何といっても窓全面を覆い尽くす渓流の景色だ。圧倒的な迫力がある。素晴らしい。川遊びをした洪作少年が、冷えた身体をここでこうして温めたのだろうか。湯船に肩まで浸かって、石走る渓流の流れと繁れる青葉を見遣りながら、しばし『しろばんば』の世界に思いを馳せたことだった。

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この「河鹿の湯」の隣の旅館が湯本館。写真の右に見える白壁がそれ。何だか河鹿の湯が湯本館の離れのように見えなくもない。湯本館は川端康成がこよなく愛した宿で、ここで『伊豆の踊り子』を執筆したとされる。私が河鹿の湯で見たのと同じ景色を、あの眼力鋭い目で見つめていたことだろう。(あ)

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