いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

あやめ湯の文化

ばあば、そっち何人? こっちは三人だよ○坊、そっちは何人だい? こっち? こっちはねぇ、いち、にい、さん、しい、ごお、大人五人と子ども一人だよ、ばあば。そうかい、そいじゃあ、全部足したら何人になるかね? 足したら? 足したらねえ、ええと、全部で九人。おお、そうじゃ、○坊はえらいねえ、頭いい頭いい、天才じゃ。

今日のあやめ湯でのやりとりである。男湯と女湯との仕切りを隔てて、祖母と孫が会話をしている。何だか井上靖『しろばんば』のおぬいばあさんと洪作が話しているような錯覚を覚え、妙に懐かしく心が和んだ。

孫の隣にはじいじがいて、孫の背中を流してやっている。反対隣の人が、坊やいくつ? と声をかける。脱衣所で一緒になって、冷えてきましたねと私が話しかけたら、冷えるねえ、韮山の上も達磨山(修善寺)も真っ白じゃ、こんな日は温泉で温まるのがいちばんじゃと言った人である。

五歳、と子どもは言う。じいじが計算問題の後を続けて、今、一人出て行って二人入ってきました。さて、全部で何人でしょう。十人。今度は浴槽に浸かっていた別の人が、へえ驚いた、この子はほんとに天才じゃなあと褒めそやす。

あやめ湯に来る人は、みんながみんな優しい人ばかりで、本当に体も心も芯から温まる。こういう温かい目に見守られながら子どもはすくすく育っていく。あやめ湯は現代人の忘れかけた文化が未だに残っている希少な場所なのだ。

あやめ湯(17:00)6→7人。徒歩8,367歩。84kcal。

写真は、藤沢駅辻堂駅の中間にある大型商業施設で見かけた看板。この看板、スロープを滑り降りてくるベビーカーに轢かれるから手を放すな、と読める。どんだけ重いベビーカーなんだ。実はこれ、ガラス扉の反対側にも看板があって、そっちは「上り」の部分が「下り」になっている。「下り」ならば納得だけど、「上り」はどう見ても無理があるなあ。湯上がりの上れる坂の春の月(あ)

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