いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

又吉直樹『火花』を読んだ

遅めの朝飯を軽く済ませた後、藤沢の大庭図書館へ急ぐ。図書館までは急ぎ足で22分。昨日、6軒巡った書店のどこにも「文学界」がなかったことから推して、9時の開館と同時に入らないと手に取れないと思っていた。ところが、家を出るのに若干もたついて、入館が9時を10分過ぎてしまった。何とかそこにあってくれと願いつつ雑誌コーナーへ直行すると…、おお、あった、あった、ありましたよ。ありがたや、ありがたや。

急く気持ちを抑えながら、傍のソファに腰を下ろす。表紙をめくって、目次をめくってぇ、と、なんと又吉直樹が巻頭を飾っている! 「文学界」編集部の気合いの入れ方が並みじゃない。なんだこの扱いは。又吉直樹ってそんなにすごいんか。『火花』ねえ、どんな作品だろう。ほう、熱海の花火大会ですか、その前座のステージで売れない漫才師が漫才をしている。なるほど、なるほど。あれ? 見物客に向かって「地獄、地獄、地獄…」なんて吠えてますよ。なんだこれは、と読み始めたら、これがなかなか面白い。売れない漫才師の話だけれど、文体自体も漫才の掛け合いみたいで、結構楽しく読めました。

「必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう? 一度しかない人生において、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう。無駄なことを排除するということは、危険を回避するということだ。臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑める者だけが漫才師になれるのだ」

その意気込みやよし。今後のご活躍をお祈りいたします。徒歩19,998歩。

写真は、藤沢の大庭図書館で見つけた「文学界」2月号。大学時代の後半には、「文学界」「新潮」「群像」の三大文芸誌を毎月購読していた時期もあったなあ。強烈な衝撃を受けた、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』が掲載された「群像」だけはどこかにしまってあったはずだが、それがどこだか思い出せない。青臭き時代もありてどんど焼(あ)

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