いずぃなり

伊豆でのシニアライフ

「あづまや旅館」の湯

夕方5時過ぎ、古奈温泉の「あづまや旅館」に出かける。古奈温泉は、今は伊豆長岡温泉というくくりの中にくるまれているが、開湯の歴史は長岡温泉よりもはるかに古い。長岡温泉の開湯が1907(明治40)年と比較的新しいのに対して、古奈温泉は1300年以上の歴史を持つ。伊豆に流された、かの源頼朝も訪れた由。源氏山を隔てて伊豆長岡駅に近い東側が古奈温泉、山の向こうの西側が長岡温泉となっている。
いつも行く長岡南浴場は水曜が定休日で、だから、水曜はたいがい家の内風呂で済ますのだが、今日は何となく温泉に入りたい気分だった。長岡南浴場が休みだった場合は、優先順位二番手の「あやめ湯」か、三番手の「温泉交流館」に回るところだが、以前からどんな風呂か気になっていて、これまで一度も行ったことのない「あづまや旅館」に行ってみることにした。
実は、「あづまや旅館」は「あやめ湯」の筋向かいにある。裏手のすぐに源氏山が迫っていて、土石流でも起こったら一瞬にして土砂に埋もれてしまいそうな場所に建っている。温泉はpH9.0の美肌湯で、お手頃価格の宿泊料金とあって、口コミの評判はいいらしい。入浴は500円で利用できる。「あづまや旅館」の玄関は「あやめ湯」から20歩ほど。たった20歩の差で入浴料が200円違う。「あやめ湯」は300円。
「あやめ湯」の前の縁台では風呂上がりの家族連れが、火照った体を秋風に涼ませていた。「あやめ湯」は高めの温度のかけ流しで、小さな子には熱過ぎて入れないのではないかと思うのだが、縁台に座っていた女の子は、うちの孫くらいの年齢に見えたが、とても心が満たされたふうで、温泉、温泉と何度も繰り返していた。おや、お嬢さんにも分かるかい? そうなんだよ、ここの湯は本当に温泉らしい温泉なんだ。縁台の前を通るとき、「あやめ湯」でいいか、300円だし、と、やや気持ちがぐらついたが、いやいや、やはり話の種に「あづまや旅館」の湯に浸かるべきだと思い直して旅館の玄関を開けた。
フロントの人に、初めてで勝手が分からないと言うと、風呂場まで案内してくれた。2階が女湯で鶴の湯、3階が男湯で亀の湯。浦島太郎では、女の乙姫が亀で男の太郎が鶴だったよなあ、と、どうでもいいようなことを思いながら、案内された脱衣所に入る。と、何か妙に暗い。浴室も暗い。暗いはずで、両方とも電気が消えていたのでした。いくら節電対策とはいえ、利用客に電気のスイッチを探させるなんてあんまりじゃありませんか。いっぺんに印象を暗く持ってしまった。泉質自体はまあまあだっただけに、ちょっと残念な気がした。5,083歩。
写真は、「あづまや旅館」の男湯。亀の口と、その横の木枠の注ぎ口から湯が流れ出ている。男湯が亀の湯で、女湯が鶴の湯。構造上、亀の口から湯が出るのは分かるが、女湯の鶴の場合はどうなんだろう。同じように、湯は鶴の口から出ているのだろうか。千年も生きてどうする鶴と亀(あ)

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